生体異物による血清コレステロール上昇機構 (抜粋)
  名古屋大学農学部農芸化学科  吉田  昭        (総合体力研究所資料より)

     PCB,DDT,クロレトン、ベントバルビダールなど肝小胞体のP450を誘導する種々の生体異物がかなり共通して、

     食餌にコレステロールを添加しない条件でも容易にラットの血清コレステロール濃度を上昇させる作用のある
     ことを見出した。
     食餌コレステロールによる高コレステロール血症の場合は通常 HDL コレステロールは低下し VLDLコレステロ
     ールならびに LDLコレステロール濃度が上昇するが、生体異物摂取の場合はHDLコレステロールも上昇する
           特異な高コレステロール血症であることが示された。
           このような高コレステロール血症は従来多く用いられてきた食餌コレステロールによる高コレステロール血症
           と異なる新しいタイプの内因性高コレステロール血症の実験モデルとしても有用であると思われる。
           いくつかの生体異物を同時に与えた場合、コレステロール合成のの律速酵素である HMG CoA レダクターゼ

           の活性も増加した。

     このことから生体異物による血清コレステロールの上昇は主としてコレステロール合成の上昇によることが明
          らかになった。またこの上昇にはカテコラミンの関与も示唆された。
           (カテコラミン = カテコールアミンともいう。 アドレナリン・ノルアドレナリン・ドーパミン・セロトニン)

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